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2026.03.27

「もう一度、食べたい」その想いに向き合うSTという仕事

「もう一度、食べたい」その想いに向き合うSTという仕事

在宅で広がる、支援の深さとSTの可能性

皆さん、こんにちは。言語聴覚士の井上です。
私は急性期・回復期で約9年勤務した後、在宅の世界に入りました。

最初は、病院での「治療」と、生活の場での支援との違いに戸惑い、正直不安も大きかったです。
「在宅って、何をするんだろう」
そんな感覚でした。

急性期や回復期で働いていると、どうしても「できるか・できないか」で判断する場面が増えていきます。
嚥下も、コミュニケーションも、安全性や効率を考えれば「難しいですね」と結論づけることも少なくありません。

それが間違っているとは思いません。
でも在宅に来て、気づいたことがあります。

それは、“その人の人生は、評価の中だけでは終わらない”ということ。

ある方は、病院では「経口は難しい」と言われていました。
でもご自宅に戻り、ご家族と食卓を囲む中で、「もう一度、少しでも食べたい」と話されました。

その想いに触れたとき、「本当に無理なんだろうか」と考えるようになりました。
リスクはゼロにはできない。
でも、やり方や関わり方を変えれば、“できる形”はあるかもしれない。

そうやって少しずつ関わる中で、その方は、ほんの一口ずつですが、また食べられるようになりました。
その一口を見た嬉しそうなご家族の表情は、今でも忘れられません。

在宅でのSTは、機能を“良くする”ことだけではなく、その人がどう生きたいのかに寄り添いながら、可能性を一緒に探していく仕事だと思っています。

うまくいかないこともありますし、正解がないことも多いです。
でもだからこそ、一人ひとりに向き合う深さと、この仕事の奥行きを感じられる。

もし今、「このままでいいのかな」と少しでも思う瞬間があるなら。
在宅という選択肢が、あなたのこれからの可能性を広げるきっかけになれば、僕は嬉しく思います。